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2007/07/11 (Wed) 17:30
「童貞論 ~『童貞。をプロデュース』に寄せて~」

dt_kaga02「童貞」とは何もない空しさや何も出来ない無力さ、そんな心の真空状態を表す言葉なのだ。きっと。
?
高二の夏、仲間との約束「童貞喪失宣言」から早6年余りが過ぎてしまった。
何度も何度もさみしくて死にそうで死ねない夜を迎えて、悶え苦しんで転げ回って、映画観て泣いて、酒呑んで吐いて、今にも暴れ出しそうな何かをどうにかしたくて、それなのにシコってもシコっても勃起はおさまんなくて、なんだか器用に生きている奴等が羨ましくて悔しくて仕方なくて、グラビアの女の子たちは優しく微笑みかけてくれるのに、それでも誰かに抱きしめてもらわないと立っていられないような気がして……。
そんな僕に対して、抱きしめる代わりに松江さんはカメラを渡したのです。今思えば人の弱みにつけこんだ宗教の勧誘みたいな気がしないでもないんだけど、その時は松江さんの巧い口車に乗せられちゃったんだな。
で、お前を撮れ、と。
にしても、一体何を撮ればいいんだ? 僕なんか撮ったところで果たして面白いのかしら?
それで僕はとりあえずカメラに向かって叫んでみたのです。
「一体、僕はどうしたらいいんだッ!? 」
そしたらカメラは僕にその答えをくれたんだ。
カメラっていうのは単に映像を記録する為の装置じゃなかったのです。自意識粉砕機。そうだ、自意識粉砕機だ。
僕はその時、自意識のベットリこびり付いた主観の他に、カメラっていう新たな視点を手に入れたのです。
そして、ここからが松江さんの才能の凄いところだよ。
僕の身に振りかかる数々の不運。そのすべてが、松江さんの超自然的な能力によって仕組まれたものであると気付くのに、さほど時間は掛からなかった。
でも、そこで僕が失ったものっていうのは僕が今まで寄り掛かっていたものであり、甘んじてきたもの。そしてその奥には僕が今まで目を逸らしてきたもの、対峙しなければならない真実があった。
僕の心の真空状態の先にある、真っ暗でそれでも信じなきゃいけない未来だ。
?
躊躇したり立ち止まったりしたら、人間はきっと立っていられなくなる。
しっかり前を向いて走らなければ、たちまち倒れてしまうのだ。
でも走り続ける為に大切なのは、倒れないようにバランスをとっていく器用さよりも、一歩一歩を確実に踏みしめて行く為のリズム。次の一歩を信じて、今この一歩を思い切り踏みしめていく勇気、それが大切なのだ。そしてそれは人を信じるという事であり、また自分自身を信じるという事でもある。今まで異性に怯え自意識だけを肥大させて生きてきた僕には出来なかった事だ。
その結果として、僕らが抱えている底なしの孤独。それが「童貞」なのだ。
?
そんな事を松江さんは僕に言いたかったんじゃないかろーか、と今になって僕はそう思うのです。
?
……いや、違うな。
人の童貞をオモチャにしやがって! あんたジゴクにおちるよッ!!

文・「童貞。をプロデュース」主演、加賀賢三
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テーマ : 邦画 - ジャンル : 映画

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